2017年4月9日日曜日

【家庭教師インタビュー】第一志望の高校に受かった男の子の回答

合格おめでとう。よくやったね。こんなに喜んだのは息子が誕生したとき以来です。お母さんからLINEで「合格しました!」って報告をもらったときは嬉しくて、職場の休憩室でガッツポーズしました。本当によかったね。

家庭教師として教えたのは中二の五月からです。僕らは19カ月のあいだ一緒に勉強したことになります。受験を終えて、君の勉強生活を今一度ふり返って質問させてください。



 一、合格者の掲示板で自分の受験番号を見つけた。そのときの気持ちを教えてください。


合格発表は思ったよりずっと小さな掲示板だった。テレビの画面二つ分くらいしかなくて。○○番あたりの自分の番号を探そうと気構えていたのに、発表されてすぐに見つけちゃって「え?」みたいな感じでした。

 

二、その日は家族とどんな話をしましたか?


よっしゃあ受かった!って帰ってお母さんに報告しました。受かってよかったねとか、私立高校じゃなくてよかったねとか、そんな話をしたあとはギャーギャー騒いでました。


三、最後の一カ月で学力が大きく伸びたよね。V模試の過去問集をやりまくっている姿を見て意欲と集中力がグンと高まっているなと感じていました。大好きなスマホゲームのクラロワも「入試が終わるまでは絶対にやりません」と自主的に封印したし、「面接の練習をやってくれませんか」と学習指導後に頼んできたこともあった。いよいよ受験まであと少し、そうなってからの頑張りには合格への確かな意志が見て取れました

本気だったね。勉強に対する●●君の本気を初めて見ました。

この時期、どんな考え方をもってどう勉強していたのですか?

 

「ここまで来たなら受かりたい!」って思いました。残り一カ月になってからの勉強はやばかったですね。あの集中力は、絶対に一年はもたない。受験前じゃないと無理。それと「早くゲームしたい」とばかり思っていました。だからなんとか前期試験で受かりたい、後期試験まで終われないのは嫌だなって。

勉強はというと、直前だし丸暗記をがんばろうと思った。あるじゃないですか、五教科ポイント集。あれをそのまま暗記しようとしたけどぜんぜん覚えられなくて、この方法はダメだなって。そこで、先生からもらったV模試の過去問集を解いてみる、そして答えをみる、というのを繰り返しました。するとだんだんわかるようになってきて。

僕のやり方は、一問やったらすぐに答えと解説を見ることも多いです。分からないまま進むと、あってるのか間違ってるのかが気になっちゃうんですよね。答え合わせを後でまとめてやると、その時その問題で自分がどうして迷ったのかを忘れちゃうから、次の問題をやるよりも忘れないうちに答えを見ちゃいたい。なんていうかな、「おれがちょっとわからないなと感じてる部分」をわかっている状態で解説を見ると、印象に残って覚えられるんです。

やらなかったものと言えば、国語の文法。途中でやめちゃいました。クソつまらなくて。文法なんておれ要らねーわって思っちゃってるし。こんな気持ちでやるくらいなら他の勉強をしたほうがいいと思いました。

英語も嫌でしたね。何をやっても伸びないし、単語を覚えてもすぐ忘れる。やっぱ忘れるってことは、基本的にどうでもいいと思っちゃってるんですよね。自分に必要ないっていうか、必要を実感できてないというか。

英語や国語の文法の勉強をイヤイヤやっても、これ絶対に本番前には忘れちゃうなって思いました。だから先生との勉強時間だけです。英語...まぁ高校に入ってからちゃんとやります。

 


とにかく、公立高校の過去問とV模試の過去問を解きまくる、その答えを見る、ということの繰り返しです。たくさん解いて、答えを見て、なんで分からなかったのか理解しようとして、ポイント集を見て、暗記する。 

そういうことをやっていくうちに面白くなってくるんですよ。例えば歴史は、出来事や人の名前は知ってるけど年代はもやもやしてわからない、みたいな感じで知識がバラバラだった。そのバラバラが頭のなかで整理されてくる。面白くて、短い期間でも集中できたから結構できるようになりましたね。ふりかえると直前の一カ月の勉強はほとんど社会です。最も伸びしろがあったからです。

他の教科はというと、国語は、今以上の点数を望んでも努力というよりセンスで決まっちゃうなとそれに手元の国語の過去問は解き終わっちゃってたから勉強しにくい。

数学は、一番やってきて一番得意な科目だけど、これ以上勉強するのは正答率5%の難問を解けるようにする努力。そこまではしなくていいかなって。難しい問題も優しい問題も同じ5点だから、数学をこれ以上あげるのは難しいって思った。

理科はもともと好きだし興味ある内容が多いから、ある程度はわかるんです。でもわかっているつもりでテストやってみると、理解がちょこちょこ抜けている。正直わからないところがわからない状態です。そのあたりまでカバーして全部やろうと思うと時間がかかり過ぎちゃうなって。平均点は超えられるから、理科の勉強はもういいかなと。

一番苦手な英語は、すぐ忘れちゃうし、わからなすぎて間に合わないし、くそつまんないからもういいかなと。

社会は、模試の結果を見ても、本番で下手したら英語と同じくらい悪くなる。でも頑張って暗記すればしっかり点を取れるなと思えたから、いまはこれを勉強した方がいいだろうと。それに地理は嫌じゃなかった。これは覚えたほうがいいだろうなとか、なるほどとか、勉強する意味や分かるようになる手ごたえがありました。

数学の証明問題なんて、もっと勉強すればできるようになるかもしれないけど、その時々でけっこう問題のパターン違うから、難しい問いまでやってらんないですよ。やっぱ伸びしろのある社会。そう決めてからは、勉強時間の6割が社会。3割が理科。国語はほぼやってない。英語もほぼやってない。他は数学の不安なところ、例えば文字式の問題とかです。まぁほぼ社会と理科でしたね、最後一か月前の勉強時間の内訳は。

そんなことで、受験直前は社会の勉強を一番に頑張れました。なぜ社会か、なぜこういう勉強方法になったのかって聞かれたら、そういう筋道を立てて勉強できた理由はやっぱり「受験で受かりたいな」って本当に思えたからですね。
                                                                                   

四、僕は●●くんにとってどんな人でしたか?

厳しい?優しい?頼りない?役に立つ家庭教師?ガチで語れるクラロワ仲間?思い浮かぶことを正直に書いてみてほしい。


そうです。自分の気持ちをそのまま話せて、役に立つ家庭教師で、ガチで語れるクラロワ仲間でした。



五、●●くんは成長したと思います。自分ではどう思う?たとえば、公立高校の前期入試が終わり合格発表を二日後に控えた最終指導日のことです。

合格への手ごたえを感じながらも「これで落ちてたら自分には難しかったんだと諦められます」と清々しかった。自分のしてきた努力にも本番で発揮できた力にも納得しているように見えた。「なんか今日はもう後期試験のための勉強はする気になれません」っていうもんだから、しょうがないなーって笑いながらペンを置き、ざっくばらんにお喋りをしましたね。

「何でおれは勉強が嫌いになったんだろう」って過去の自分を振り返りながら真摯に語ってくれました。その最後に「勉強が嫌いなやつの気持ちが今はわかります」と。そして昔の自分のように勉強が苦手な弟くんに今は数学を教えているのだと聞いて、あぁ成長したなって感慨深く思ったんだ。

気づいたこと、できるようになったこと、わかるようになったこと、いろいろあると思います。この二年間で、自分って成長したなぁと思うことについて教えてください。


勉強に対しての考え方や、頑張るようになったところが成長したと思います。

(記入済みアンケート用紙を手元に置きながらインタビューで)

千明「もうちょっと詳しく聞かせてよ」

●●「覚えてますよ、最後の指導日にした話。言われてみるとそんな話ができたのも成長したからですね。でも未だ文章でこうゆうことを書けないんですよね。口だと上手く言えても文章だと難しい。先生はよく書けるなーって凄いと思う。あと勉強とかゲームしてると書く時間なくなっちゃうし。あ、今は勉強してないか」

千明「ゲームかい」


六、僕らはたくさんの本と記事をシェアしたね。

その中で一番面白かった記事は何ですか。

 

マッチ売りの少女。

あぁこういう視点もあるんだなって面白かった。普通じゃない見方だなって。最初のころ渡された記事だから余計に印象深かったです。先生が書いた記事だったんですね。

http://honshare.blogspot.jp/2015/12/blog-post_16.html


また一番面白かった本はどれでしたか。


もちろん『嫌われる勇気』。


七、本や記事をシェアする勉強法ってどうだった?


国語、急に伸びましたからね。国語の勉強をしっかりやってたわけじゃないのに、急になんか、文章の抜き出し問題ができるようになってた。不思議な伸び方しましたね。なんでわかるようになったのか、自分でも国語だけは未だに謎なんですよ。抜き出しなさいの問題が全部解けなかったんだもん。抜き出し問題なんて簡単な方なのに。質問の意味がわからなかった、というか、もう全部わかんなかったんですね。そんな状態からいつの間にかできるようになってて、ラッキー、国語ラッキーって思ってます。

勉強がすごく嫌いだったけど、本を読むのは嫌いじゃなかったし、あまり勉強してる感じがしなくてやりやすかったです。以前は、例えば皮肉とか、裏に違う意味があるような、なんか含みのあるような、そういう言葉の意味がぜんぜん読めていなかった。前よりも文章が理解できるようになって、国語力って大切だなって凄く思うようになりました。他の教科の勉強も国語力が基礎なんだなって気づいたし。『嫌われる勇気』みたいな、面白いなって感じられる良い文章にたくさん触れてよかったです。



八、僕と君が一番シェアした本は千葉県公立高校入試の過去問です。学習指導を始めたばかりのころに「誕生日プレゼントだよ」って冗談交じりにあげたの、覚えていますか。二年生の夏というかなり早い時期から君の机の上にはずっとあって、その頃から地道に一緒に取り組んできましたね。

入試の過去問に日常的に向き合い続ける、という勉強法はどうでしたか?


やっぱり中学の勉強のゴールは高校受験だと思うので、必要なことを勉強していると思えて意欲的に学習できました。

過去問をやるって、つまり入試のための勉強だから。やっぱ自分にとって必要なことをやっている実感があるとやる気が違いますね。あと先生に過去問をもらったばかりの頃、まだ習ってないやつができた!って嬉しくなりました。 

 

十、勉強魔人覚えてる?あのイラストの続きを描いてください

2015年8月

2017年3月

最後に

●●君と僕は家庭教師と生徒として出会いました。手元の指導カルテには、お父さんお母さんと君自身が家庭教師に期待することが書いてあります。

テストで平均点をとれるようにしたい。

第一志望は八千代東高校。

この期待に応えることができたことが嬉しい。そして、君が君自身の期待に応えることができたことを本当に喜ばしく思っています。

これまで学校の定期テストや高校進学のための受験勉強をサポートしてきたけれども、それは何のためかといえば、人間として賢く逞しく生きるために必要な知性と心のあり方を身につけてほしいと願っていたからです。

これからもよく学んで自立した人になってください。●●君とのご縁を全うできて良かったです。ありがとう。

千明 公司